2016年10月06日
九州大学医学研究院の栁雄介教授と橋口隆生准教授、生体防御医学研究所の神田大輔教授、薬学研究院の白石充典助教、筑波大学の竹内薫准教授、香川大学の中北愼一准教授、中部大学の鈴木康夫客員教授、北里生命科学研究所の中山哲夫教授、東京大学の清水謙多郎教授と寺田透特任准教授、高エネルギー加速器研究機構の清水伸隆准教授らの共同研究グループは、日本でも小児を中心に毎年数十万人の患者が出ている流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)の原因ウイルスであるムンプスウイルスがヒトに感染するために利用する受容体の構造を解明し、ウイルス糖蛋白質と結合した状態を原子レベルの分解能で可視化することに成功しました。流行性耳下腺炎に罹患すると髄膜炎や脳炎、難聴といった重篤な合併症を引き起こすことがあるため、非常に重要なウイルス感染症として研究が進められています。
本研究成果は、ムンプスウイルスの感染メカニズム解明に大きく貢献するだけでなく、今後、同ウイルスに対するワクチンや抗ウイルス薬の開発・改良に発展することが期待されます。また、既感染者やワクチン接種者であっても、一部の人がムンプスウイルスに感染する理由を解明する重要な情報を提供します。
本研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of USA」に9月26日に掲載されました。