クライエントとの協働による、こころの理解と支援を目指して
医療をはじめ教育、福祉、司法、産業など幅広い分野で心理援助を実践するためには、一人ひとりの違いを丁寧に理解することが欠かせません。客観と主観のバランスをとりながら、こころを理解する「心理検査」「面接」「観察」といった方法やその臨床実践への学びを積み重ねます。クライエントとの人間的な関係を心理アセスメントでも大切に。その姿勢は教育においても同じであると考えています。
「協働的/治療的アセスメント」が研究テーマです。事例研究として複雑性悲嘆、慢性疼痛、社会的引きこもり、非行、子どもと家族のアセスメント等に取り組んでいます。またリサーチとしては、クライエントからの満足度評価や、質的データを基にしたクライエントと査定者の相互作用の分析を行っています。近著に「ナラティヴと心理アセスメント」(田澤安弘・橋本忠行 編著, 2018. 創元社)、公認心理師養成の大学院向けテキスト「公認心理師実践ガイダンス①(野島一彦・岡村達也 監修): 心理的アセスメント」(橋本忠行・酒井佳永 編著, 2019. 木立の文庫)、「ロールシャッハ法の最前線(第11章協働的/治療的アセスメント)」(小川俊樹 編著, 2021. 岩崎学術出版社)、「15 心理的アセスメント:11 解釈・記録・報告(臨床心理学スタンダードテキストの一節)」(岩壁茂他 編著, 2023. 金剛出版)。新たな研究テーマとして、ウェアラブル心電計を用いた「心理面接での主観的な体験と客観的指標の関連」(共同研究)にも力を入れています。
公認心理師や臨床心理士として、あらゆる人のこころの健康と成長を支援することを志すみなさんとともに学び、臨床に携わり、研究を進めていけることは大きな喜びです。わたし自身も「協働的/治療的アセスメントに関する実践的な研究を重ね、日本においても心理アセスメントをもっとヒューマニスティックなものにしたい」という気持ちを持ち続けています(詳細は「かがアド第26号 研究者紹介(15-16ページ)(PDF:2525KB)」をご覧ください。)。
心理アセスメント・心理検査は一人ひとりの違いを理解し、その人にあった支援をともに考えるための方法です。医療・教育・福祉・司法・産業など幅広い分野で実践されています。
研究室では、①パーソナリティ検査、知能検査、症状評価尺度、神経心理学的検査、描画法などの臨床的活用、②心理アセスメント結果についての話し合い、③心理アセスメントにおけるナラティヴ・アプローチ、④それらについての質的・数量的効果研究、などに焦点を当てています。ぜひ扉を叩いてみてください。
職名 | 氏名 | 専門分野 |
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教授 | 橋本 忠行 | 協働的/治療的アセスメント、人間性心理学 |