こころに苦しみと痛みをかかえる人たちに、
専門家は何ができるのか
心理学だけでなく、医学や身体の基礎を学ぶ講義は、人のこころの理解や援助に深みと拡がりをもたらしてくれます。さらに実習は、唯一無二の人生を生きる個々人との出会いへと誘います。その際、科学では対峙し得ない「わからなさ」を体験し、不安を感じることがきっとあるでしょう。しかし、この人間の「わからなさ」こそ、私たちの内に創造性を育むエッセンスとなり得るのです。私はこのような人間の「わからなさ」を看過したり、わかったフリをするのでなく、真摯に探索し続ける姿勢を大切にしたいと思っています。
実践現場から提起される、心理職の専門性に関する問題を研究テーマとしています。
これまで携わってきた児童福祉、家庭児童相談、医療、青年期臨床の経験から、事例、調査研究を行ってきました。知識や技術を学び続けてもなお、直面する実践現場の困難にどう対峙し、乗り越えていくかという問題について、心理職自身のこころの動き(意識/無意識)に着眼し、精神分析的な視座から探究しています。例えば近年の研究では、緩和ケアにおける面接及びスーパーヴィジョン、家庭・児童相談機関における環境的なアプローチ等に関する研究があります。
【研究情報に関するお知らせ】
心理職養成課程における早期多職種連携教育の短期及び継時的効果の検討
心理職の多職種協働実践力を育む実習プログラム評価尺度の開発
大学院ではより広く、深く人のこころに関する知識を習得し、さらにその知識をもとに「考え」、「表現する」ことが求められます。目の前に居る、こころに苦しみや痛みを抱える人のことばに耳を傾け、自身のこころの動きにも目を向けながら、感じ、考え、ことばや行動、態度を通じて交流し続けることは容易なことではありません。しかしその困難に持ちこたえることができたのなら、新しい景色が目の前に広がる喜びを体験することになるでしょう。私は主に実習を担当することになりますが、このプロセスを皆さんとともに体験することを楽しみにしています。
職名 | 氏名 | 専門分野 |
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准教授 |
長谷 綾子 | 臨床心理学、医療領域における心理臨床、学生相談 |