温かさと豊かな専門性を兼ね備え、クライエントの「こころの痛み」に向き合うことのできる心理援助者を目指す
カウンセリングなどの臨床心理面接の教育を担当しています。臨床心理面接では、様々な悩みや「こころの痛み」を抱えたクライエントと出会い、言葉や気持ちを通わせ合いながら、その方を専門的に援助していくことになります。そのため、臨床心理面接の訓練過程では、“知的な学び”を深めることはもちろん大切ですが、それと同時に、ロールプレイなどの“体験的な学び”を重ねながら、皆さんが自分自身と向き合い、クライエントへの関わり方や相手との関係性などを丁寧に振り返っていくことがとても重要になります。
いかなる心理学的支援を実践する上でも、クライエントとの温かな信頼関係が土台となります。そのために必要な態度や応答などを実践的に学び、私自身こうした力を学生の皆さんと共に高め続けていきたいと考えています。
人は生きていく中で、様々な体験をしますが、中には、他者によって心身を深く傷つけられたり、大切な人を亡くしたり、予期せぬ出来事に巻き込まれるなどして、こころに大きな痛みを抱える人もいます。
私は、こうした「こころの痛み」を抱える人々を支援するため、「トラウマに関する臨床心理学的研究」をテーマに据え、トラウマ体験後のこころの変化や回復、レジリエンス、成長感などに関する研究を行ってきました。また、トラウマは抱える本人だけでなく、それを支えようとする周囲の人々にも様々な影響をもたらすことがあります。そのため、現在はトラウマケアに取り組む支援者のこころのケアに関する研究も行っており、支援者の二次受傷の理解や回復に関する調査に力を注いでいます。
香川大学大学院の臨床心理学専攻では、教員一人あたりの担当学生数が少ないため、学生の皆さんはきめ細かな指導を受けることができます。特に、私は臨床心理面接に関わる講義・演習・実習を担当しておりますので、ロールプレイなどを通して、皆さん自身がこころを動かしながら体験的に学びを深めていけるような指導を行っていきたいと考えています。
また、近年では、これまで考えられてきた以上に、クライエントが抱える様々な心理的困難の背景に「トラウマ」があることが明らかになっています。トラウマの知識は、心理職が携わる5つの職務領域(医療・教育・司法・福祉・産業)のいずれにも必要な横断的テーマであることが指摘されているため、大学院ではトラウマの基礎的知識やケアの方法についても指導していきます。ただし、心理臨床を続けていく上では、心理職を目指す皆さんや支援者自身のこころの健康もとても大切です。そのため、支援者自身のケアについても考える機会を持ち、皆さんが健やかに臨床心理学の学びを深めていくサポートができればと考えています。皆さんと共に学べる日を心待ちにしております。
職名 | 氏名 | 専門分野 |
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講師 | 太田 美里 | 臨床心理学 トラウマ 被害者支援 |