香川大学医学部看護学科の教育理念は、①生命の尊重を基本として、人間に対する高い倫理性と深い思考力をもった看護専門職者、②保健・医療・福祉の進展に柔軟に対応できる科学的判断力と専門技術を備えた看護専門職者、③幅広い視野をもち、地域保健医療や国際貢献の発展に寄与する看護専門職者を育成することを目指しています。
この教育理念に基づき、本学科が送り出す学士(看護学)及び21世紀型市民として身につけるべき能力・態度の到達基準としては、①言語運用能力、②知識・理解(21世紀型市民及び学士(看護学)として)、③問題解決・課題探求能力、④倫理観・社会的責任、⑤地域理解を定めています。
入学定員は60名で、看護学の基礎を学び、その後看護実践能力を高めていくための充実したカリキュラムを用意しています。卒業時には、学士(看護学)の学位及び看護師国家試験受験資格を得ることができます。また、養護教諭課程を選択した場合、教育学部と医学部で開設される教職課程を履修することにより養護教諭一種普通免許を取得することができます。
看護学科では学生自身の主体的な学習への取組みと学習意欲の向上をはかるために、講義による知識修得だけでなく、グループワークを取り入れた講義・演習形式やProblem(Project) Based Learning(PBL)など、学生自らが積極的に学修に取り組むアクティブラーニングを推進しています。また、学内には実践的な知識と看護技術を習得するための看護シミュレータや豊富な教育教材を備えた各領域実習室及びスキルスラボラトリーを整備しており、教育・研究に関して経験豊富な教員と共に、特定分野において専門的知識・技術を有する専門看護師・認定看護師の参画も得て、教育を行います。また、同じキャンパス内に医学科と臨床心理学科があることから、自らの専門性を高めつつ、他学部や他学科との交流をとおして協働性や多職種連携を学ぶことができます。このような教育環境の中で、いつでも相談できる指導教員制度を導入し、入学後のフォロー体制も充実しています。さらに、タイ王国のチェンマイ大学をはじめとするASEANおよび東アジア諸国の学生等との国際交流が活発に行われており、多様な価値観を理解し、国際的な視野を持った看護職としての資質を育むことができます。
臨地実習は、看護基礎教育の中で重要な位置づけとなります。看護学科では同じキャンパス内にある医学部附属病院で多くの実習を行っています。学生のより実践的な学びを重視し、臨床教授制度の導入や各部門に複数名の臨地実習指導者を配置して、看護学科教員と附属病院看護部および関連部局等と密接に連携して教育にあたっています。隣接する大学病院からの支援環境は本学科の強みとなっています。
大学院医学系研究科看護学専攻では、人々のQuality of Life (QOL)の向上を目指した科学的、実践的な課題解決ができる能力を有し、グローバルな視野で看護学の発展と人々の健康に寄与する研究を遂行できる人材の育成をおこなっています。大学院医学系研究科看護学専攻(修士課程)では、2023年度から3コース制を導入し、看護学コース3分野(基礎看護学、臨床看護学、地域看護学)、助産学コース1分野(助産学)及び公衆衛生看護学コース1分野(公衆衛生看護学)を設置しています。
また、2022年度から、博士後期課程を開設し、「健康創造看護学」の教育・研究を展開しています。これに伴い、修士課程は博士前期課程に変更し、博士課程における前期・後期課程として再編成しています。詳細はこちら
このように香川大学医学部看護学科は、「豊かな人間性」を基盤に「高度な知識」と「専門的な技術」を備えた看護専門職になるための学習環境が整えられております。
卒業生たちは多くを学んだ後、国内外の多様な医療機関、行政機関において、看護師、保健師、助産師、養護教諭として、その能力を発揮しています。私たちは、今後も社会に対し、優れた人材の育成及び輩出を通して、看護界へ貢献していきます。
香川大学医学部看護学科長 松本 啓子