2021年08月30日  その他

本学医学部教員の研究成果について(分子神経生物学 高橋弘雄 助教)

脳梗塞から「脳を守るメカニズム」を発見

脳梗塞は、発生頻度の高い疾患であり、要介護者を生む大きな原因の一つとなっています。脳梗塞により血流が阻害されると、神経細胞ではエネルギーが欠乏し、細胞死が起こります。失われた神経細胞を再生する治療法は確立されておらず、脳梗塞による細胞死を抑えることが、治療の重要なポイントとなっています。

今回、香川大学医学部・分子神経生物学の研究グループ(高橋弘雄助教、山本融教授)は、大阪大学と共同研究を行い、脳梗塞による細胞死を抑える「脳を守るメカニズム」の存在を、モデルマウスを用いて明らかにしました。脳梗塞が起こると、神経細胞では転写因子Npas4の働きが活性化し、これがGemと呼ばれるタンパク質の産生を促して細胞死を防いでいることが分かりました。興味深いことに、Npas4やGemの働きを人工的に活性化したマウスでは、脳梗塞による細胞死が強く抑えられました。今後は、新たな治療法に繋がるように、「脳を守るメカニズム」を効果的に活性化する手法の確立や、この仕組みを助ける新たな薬剤の開発など、さらに研究を進めて行きます。

この研究成果は、米国科学アカデミー紀要「PNAS」において8月10日に掲載されました。
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